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第1199話

 少しむくれていると、兄が宥めるように手を振ってきた。 「でもほら、狩りの引率にお前がいたら、仕事そっちのけで遊んじゃいそうだし。それはそれでランク下がっちゃうじゃない? だからこれでよかったと思うな」 「……そうかもしれないが」 「そんなにむくれないでさ。仕事は仕事、プライベートはプライベート、ちゃんと分けなきゃね。サクッと終わらせて帰って来るから、いい子で鍛錬して待ってて」 「わかったよ……」  諦めて、綺麗になった食器を片付けた。  ここでごねたところでどうにもならない。我ながら大人げない発言をしてしまった。疲れてるんだろうか。 「じゃあ、俺は明日のために早めに休むよ。今度こそ寝坊しないようにしないと」 「そうかい。私ももう少ししたら休もうかな。明日は寝坊できないからね」  食器を片付けて風呂に入り、一息ついてからベッドに入った。  ――せめてランクマッチでは、兄上と出場できるといいな……。  そんなことを考えつつ、穏やかな眠りについた。完全に寝入ってしまったので、夢すら見なかった。 ***  翌日。出掛けていく兄を見送ってから、早速アクセルは武器庫に向かった。  置いてあったボウガンを取り出し、専用の矢をごっそり持っていく。  それで黙々と的の前で練習していたが、何度も練習していくにつれ、ある不満が湧いてきた。  ――やっぱり、連射できないのは不便だな……。  せっかく引き金ひとつで飛んでいくんだから、もっと素早く次の矢を発射できるようになりたい。一本一本セットしていたのでは、隙も大きくなるし手間もかかる。  何かこう……連射できるよう上手く改造できないだろうか。ボウガンの仕組みを理解してしまえば、連射機能くらい加えられる気がするが……。 「矢をセットする部分に、予備の矢がすぐ充填されるようにすればいいのか……? となると、ここの下に巻き上げるような仕組みを……」  ブツブツ言いながらあれこれ考えていたら、唐突にピピが後ろから頭突きしてきた。

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