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第1200話

「おわっ!」  咄嗟に受け身をとったが、ほぼ不意打ちだったので結構なダメージがあった。  ごろんと庭に転がり、すぐさま飛び起きる。 「どうしたんだよ、ピピ? いきなり頭突きしないでくれ」 「呼んでも全然気づかないから、ピピちゃんも痺れを切らしたんじゃねぇかな」 「……えっ?」  ハッとそちらに目をやったら、何故かジークが呆れた顔でこちらを見下ろしていた。 「ジーク様……いらしてたんですか。気づかなくてすみません」 「いや、いいけどな。近くを通りかかったんで、ついでに寄ってみただけだ」 「はあ。でも兄は今日、狩りの引率で出払ってますけど……」 「ああ、別にフレインに用があったわけじゃねぇよ。ランクマの組み合わせが発表されてたんで、お前さんたちの分も持ってきてやったんだ」 「えっ……?」  これだ、と数枚の紙を渡される。  そこには一ヵ月分のスケジュールと、おおまかな組み合わせ対戦表が載っていた。思った通り一対一ではなく、何名かのチーム戦になっている。 「あっ……」  兄の名前が太字になっているのを見つけ、アクセルは素早く目を走らせた。  来月半ばくらいに行われるランクマで、兄はチームリーダーに任命されているらしく、十人の戦士(エインヘリヤル)を率いて戦う予定だそうだ。  ちなみにその十人の戦士(エインヘリヤル)の中に、アクセルの知っている名前はなかった。もちろん自分の名前もない。 「また兄上とマッチングしてない……」  がっくりと肩を落とす。  どうして自分は、ランクマッチでさえも兄と戦えないのだろう。一緒のチームじゃなく、対戦相手としてマッチングするのでも全然かまわないのに。  するとジークは呆れながら紙を指差して来た。 「おい、見るところはそこじゃないだろ。お前さんが所属してるチームと相手チームを見てみろよ」 「えっ……?」  視線を移し、自分の所属チームを確認する。  自分を含め十人のチームが結成されていたが、なんとそのリーダーはユーベルになっていた。

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