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第1201話

「げっ……! ユーベル様……!? しかも相手のリーダーはランゴバルト様になってる!?」 「面白い組み合わせだよな。てかお前さん、ユーベルの下っ端ってことはあいつに動き合わせて踊らなきゃいけないんじゃないか?」 「ええ……? でも今回の武器は飛び道具オンリーでしょう? ユーベル様の得意な舞は関係ないんじゃ……」 「何言ってるんだ。あいつ、ああ見えてめちゃくちゃ器用なんだぜ? どんな武器を持たせても優雅に踊れるんだ。知らないのか」 「そ、そうなんですか?」 「ああ。今頃飛び道具オンリーの優雅な舞でも考えてるんじゃないか?」 「ええー……」  ユーベルのことだから、普通にやりかねない。  というか、ランクマ開始前にメンバー全員集められて、みっちり踊りを叩きこまれそうな気がする。で、踊れなかった人は罰として何か残念な作業をやらされる予感が……。 「……俺、ちょっとユーベル様のところに挨拶行ってきます。当日までに一度も顔を合わさないのは、いろんな意味で怖いので」 「それが賢明だな。城に行くなら何か手土産持っていけよ? 手ぶらだとお説教されるかもしれんからな」 「わかりました……。とにかく行ってきます」  アクセルは家にあった適当な酒を持参し、ユーベルの城を訪ねた。  案の定、彼は城の庭で小型の弓を持ちながら動きを確認していた。  ――うわぁ……。  何というか――非常に流麗な動きである。  片足を上げⅠ字状態で回転したかと思うと、複数の矢を天に向かって放ち、ひらりと飛んでまた矢を放つ。数秒遅れで上から矢が降り注ぎ、先程までユーベルがいたところにグサグサ突き刺さっていった。  動きそのものに無駄がないし、時間差で矢が降ってくるので前だけ見ていればいいわけでもない。  あれが敵だったら……と思うと、末恐ろしい。つくづく味方でよかった。  ――でも、さすがにあの動きは真似できないんだが……。

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