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第1203話

「そ、そうですね……」  ということは、ユーベル歌劇団に所属している連中は、「動きを真似ろ」と言われたら皆難なくできてしまうということか。一体どういう訓練をされているんだ。  ユーベルは更に言った。 「それに、今回の相手はランゴバルト率いるチームですからね。彼のことですから、他のメンバーそっちのけでわたくしとのサシ勝負を仕掛けてくるでしょう。なのであなた達は、わたくし達の決闘を邪魔しないよう露払いをしていてください」 「は、はあ」  ……それってチーム戦の意味があるんだろうか。戦略の「せ」の字もないのだが。  ――どいつもこいつも自由だな……。  上位ランカーにリーダーを任せると、統率が疎かになりがちのようだ。上位ランカーは単体の一対一バトルで強い人たちなので、チームを率いて戦うことには慣れていないのかもしれない。  けれど、リーダー同士がサシ勝負しているのを傍目で見ているだけでいいんだろうか。これはあくまでチーム戦だ。リーダーが討たれるとチームの敗北が濃厚になってしまう。  ――確か今回のルールは、「生き残っていた戦士の合計が高かったチームが勝利」だったよな……。  ちなみにリーダーは五ポイント、その他の戦士は一ポイント計算である。つまりリーダーは、戦士五人分に相当するわけだ。  ユーベルがランゴバルトとサシ勝負をしてしまった場合でも、どのみち取り巻きは減らしておかなければならない。どちらが勝つかわからない以上、少なくとも五人以上の差はつけておく必要がある。  しかし、確実に五人分減らせるかといったら……正直、あまり自信がない。  アクセルは困ったように首をかしげた。 「ええと……何か他に作戦はないですかね? 俺たちもできるだけ頑張りますけど、あらかじめ作戦を決めておいた方が戦いやすくなると思うんです」 「作戦というほどではありませんが、わたくしは数秒に一回天に矢を放ちますので。時間差で矢が降ってきます。くれぐれも、間違って刺さらないように気を付けてください」 「え、ええ。それはわかりましたが……」

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