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第1205話
「は、はい……。じゃあこれで失礼します……」
これ以上話すこともなさそうなので、仕方なくアクセルはユーベルの城を後にした。挨拶するだけ無駄だった……とは言わないが、正直収穫は少なかったように思う。
――ユーベル様の言う通り、その場しのぎで適当に組まされたメンバーじゃ、チームワークもクソもないんだろうけど……。
でもこの理屈、相手のチームがちゃんと統率のとれたメンバーだったら完全敗北してしまうのではないだろうか。今回はランゴバルト率いるチームだから大丈夫だろうけど、これが面倒見のよさそうなジーク率いるチームだったらどうだ。事前にしっかり作戦を組み立てて、それ相応の特訓も挟んで挑んでくる可能性が高い。
――だいたい、相手を五人以上削れっていうのも簡単なようで結構難しいし……。
ヴァルハラに招かれている以上、どんな下位ランカーであっても最低限の実力は備えている。そんな相手を、不得意な飛び道具で五人以上倒さなければならないのは、アクセルにはちょっと荷が重いように思えた。
いざとなったらヤドリギを投げつけるという手もあるけれど、それがどこまで通用するかは全くの未知数である。
やっぱり初回は、最後まで生き残ることに重点を置くしかないのかな……と考えながら、アクセルは家に戻った。そして夕食前までみっちりボウガンの練習をした。
「ただいま~!」
狩りに行っていた兄が戻ってきたようだ。
玄関からではなく庭にそのまま入ってきて、担いでいた鹿と猪をドサッと下ろした。
「うわ……すごいな、これ。狩りの収穫か?」
「そうだよ。今日はあまり大きい獲物が出てこなかったから、みんなで小型の群れを追い詰めることに専念したんだ」
「え……みんなで? 協力して?」
「そりゃそうだよ。そうでもしなきゃ、上手く狩りができないじゃない」
と、兄が愛用の太刀を抜き放つ。
「待っててね、スパスパ~っと捌いちゃうから。そしたらこれをステーキにしよう」
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