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第1206話

「それはいいんだが……兄上、狩りのメンバーを引率するのって何かコツがあるのか?」 「え? コツって何? 普通に引率しただけだけど」 「いや、その普通ってのが気になって。もしかしたら、ランクマにも使えるかもしれないからな」 「? どういうこと?」  アクセルは順を追って説明した。  チームの組み合わせが発表されて、確認したらユーベルがリーダーだったこと。挨拶がてら彼の城に行ったら、「作戦は特にありません」と言われたこと。それでも「ある程度の方針は決めておいた方がいいのでは」と意見したら、「適当に集められたメンバーに、チームワークもクソもない」と反論されてしまったこと……等々。 「ありゃ、そうなの? ユーベルも適当なこと言うねぇ」  と、半ば呆れながら兄が笑う。 「まあでもユーベルにとってのチームワークって、『自分の歌劇団レベルに一糸乱れぬ動きができる』ってことからね。さすがにそのレベルは期待できないでしょう」 「うん……でも、初戦から行き当たりばったりなのはどうかと思ってな。いきなり負けたら幸先悪いだろ。だから何か、統率のコツがあれば聞いておきたかったんだよ」 「なるほどねぇ……」  兄が顎に手を当てる。 「お前の言い分はよくわかるけど、私はこれといって特別なことはしてないんだ。強いていうなら、明確な目標を立てることくらいかな」 「明確な目標……?」 「そう。狩りをする時って『今日はこの獲物を狩ろう』って目標があるじゃない? 例えば『大きな猪を一匹狩る』とかさ。そこにみんなの焦点を合わせると、団結力も一気に上がる気がするね」 「そうか……確かに」 「もしランクマで目標を立てたいなら、『相手チームのリーダーを倒そう』みたいな感じでいいんじゃない?」 「い、いや……それはちょっと無理かな……」  相手がランゴバルト率いるチームだと説明したら、兄は納得したように「ああ、それは無理だね」と言い切ってくれた。

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