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第1212話

「そんなことより、これからの試合に集中なさい。相手はランゴバルト率いるチームです。上の空で戦っていい相手ではありませんよ」 「は、はい……わかりました」  非常に気がかりだったが、リーダーがいいというのなら仕方ない。納得はできないけれど、これ以上自分が意見を述べたところで状況は変わらないのだ。  試合が終わるまでに遺体回収班が気付いてくれればいいのだが……と思いつつ、アクセルはメンバーの一番後ろに並んだ。 「…………」  後ろから改めてメンバー全員を眺めてみたところ、やはりユーベルのオーラは群を抜いていた。ランキング四位の戦士だけあり、見た目からして全然違う。何というか、全身から自信が漲っている感じがした。  一方、他のメンバーは似たり寄ったりで、よくも悪くも普通という印象を受けた。各々、自分なりの飛び道具を手にしており、普通に弓を持っている者もいれば投擲用の手斧や投げナイフを所持している者もいた。  ――そうか、投げナイフって手もあるのか。  次にランクマに出る時は、ナイフも武器の候補に入れてみよう。ただ投げるだけなら、弓よりずっと扱いやすいに違いない。  時間になったので、ユーベルを戦闘に全員一列になってフィールドに入場することになった。物珍しさからか、観客席はほぼ全て埋まっており、ボックス席ですら満席になっていた。  兄はボックス席の一番見やすい場所を陣取っていたが、貸し切り状態ではないせいかやや居心地悪そうな顔をしていた。兄のことだから、きっとボックス席を一人で占拠して、軽食片手にランクマッチを楽しむつもりだったに違いない。  ――まあでも、兄上が見ているなら最後まで頑張らなくちゃ……。  中央に引かれているラインを挟んで、自分のチームと相手チームが横一列に並ぶ。  チーム発表の時点では、どちらも十人ずついるはずだったが、こちらのチームは一人足りず、ランゴバルト側はなんと三人も足りていなかった。つまり九対七だ。

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