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第1215話※

 狂戦士モードになるだけで、周囲の空気を一変させることができる。生半可な戦士では、このオーラにあてられただけで戦闘不能になってしまうだろう。ランゴバルトが役に立たない戦士を三人も切り捨てたのは、ある意味正しかったのだ。こんな状況じゃ、どうせ一歩も動けないだろうから。 「さすがランゴバルト、いい闘気をしています。ではわたくしも……フオォォォ!」 「うっ……!」  今度はユーベルのオーラが膨れ上がり、また一段と空気が重くなった。  ランゴバルトとはまた違った闘気がフィールドに広がり、相手のみならず味方もまとめて超重力に晒されてしまう。 「さあ、踊りましょう!」  ユーベルが舞うような動きで頭上に無数の矢を放った。一定時間おきに降り注ぐ矢の雨だが、この状況では味方にも同様の被害が出てしまう。  ――もうめちゃくちゃだ……!  作戦もクソもあったもんじゃない。事前に綿密な作戦を立てなかった理由がようやくわかった。  呼吸もしづらいし、身体も動かしにくいし、これ以上近づいたら本当に命に関わる。もう少し距離を取らなくては。 「逃げるな、腰抜けどもが!」  ランゴバルトが雄叫びを上げつつ、全方向に矢を乱射する。思った以上の速さで連射され、アクセルのところにも槍のような矢が飛んできた。  動きが鈍っているので回避も間に合わない。 「くっ……!」  やむを得ず、アクセルは飛んできた矢に向かってボウガンを放った。ボウガンの矢は太い矢の柄の部分に当たり、僅かに軌道が反れた。  アクセルの胸部に命中するはずだった矢は、そのまま脇を掠めて遠くの壁に突き刺さった。  ――な、何とかセーフ……!  掠めた部分が切れて血も出たけど、これくらいなら文字通りの掠り傷だ。戦闘不能になっていないなら何でもOKである。 「ぐぎゃ!」 「おげっ……!」  だがアクセルの近くにいた戦士は上手く避けきれず、また二名が脱落してしまった。相手チームも、同様に一名が犠牲になったようだ。

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