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第1219話

 ここからだと、フィールドの様子がよく観察できる。狂戦士モードならより一層視界がクリアになり、人の動きも緩慢に見えた。 「はあっ!」  アクセルは上から矢を複数本放った。  案の定、ランゴバルトに全て手で弾かれてしまったが、アクセルはめげずに何本も矢を打ち込んだ。着地して間合いを測りつつ、あらゆる角度から矢を放ってみせる。  その間、上からも不規則に矢の雨が降ってくるので、ランゴバルトは大量の矢に晒される状況に陥っていた。 「この……いい加減鬱陶しいわ!」  最初は適当に矢をあしらっていたランゴバルトも、攻撃を邪魔されたりユーベルとの戦闘に横槍を入れられたり等が重なり、怒りのボルテージが上がってきたみたいだった。  狂戦士(バーサーカー)ならではの殺気が大きく爆発し、雄叫びだけで周辺の人を吹き飛ばすくらいの迫力が出てくる。 「邪魔をするな、雑魚が!」  とうとうランゴバルトが、硬い籠手に覆われた拳を振るってきた。飛んできた矢もろとも、こちらを殴り殺そうという魂胆のようだった。 「っ……!」  一瞬で間合いを詰められ、ハンマーのような拳が横から薙ぎ払われる。  なんとか頭を引っ込めて躱したが、避けた時にブン、と勢いよく空気が切れ、頭頂部の髪が一部千切れた。  足を止めたら即死する。アクセルは急いで距離を取り、新しい矢を番えようとした。  だが、 「グオァアァァ!」 「うわっ……!」  そんな間もなく、ランゴバルトが飛び蹴りをかましてくる。  すんでのところで身体を捻ったものの、完全には回避しきれず脇腹を蹴られて勢いよく壁まで吹っ飛ばされた。痛みはなかったが、衝撃はかなりのものだった。壁に叩きつけられた衝撃で一瞬呼吸ができなくなる。 「警告! 体術はルール違反です。飛び道具のみを使用してください」 「知るかぁ!」  空からヴァルキリーの声が降ってきたが、激情したランゴバルトは止まらない。  彼は怒りの咆哮を上げながら、壁に激突したアクセルに拳を振るってきた。

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