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第1221話

「やれやれ……せっかく盛り上がってきたのに、水を差されてしまいました。ルールとはいえ、無粋ですねぇ……」  ユーベルがやや不満げに弓を下ろす。勝ったと言われても全く嬉しくなさそうだった。  そりゃあ、全く関係ない第三者に唐突にバトルを止められたのだから、不満になる気持ちもわかるけど。  ――ランクマッチ……改善すべき箇所は多そうだな。  試合が終わったので、アクセルもボウガンを下ろしてセットした矢を外した。  自分は何とかギリギリ生き残れたが、少し冷静になって辺りを見回したらかなり酷いことになっていた。  生き残っているのは自分とユーベル以外に三人しかいない。うちのメンバーじゃないからランゴバルトのチームメンバーだろうけど、彼らも満身創痍でボロボロになっていた。あとは全員見事に死んでいた。  ――これ、また棺が混雑しそうだな……。  戦いの後というのは総じてこんな感じになるが、ランクマッチの方が人数が多い分悲惨なことになりがちである。初めてのバトルで生き残れたこと自体、ものすごく幸運なのかもしれない。 「うっ……」  もう終わったからと狂戦士モードを解除した途端、全身が重い痛みに襲われた。特に脇腹の痛みが酷く、肺を膨らませる度にズキンとした激痛が走る。  そう言えば狂戦士(バーサーカー)になっている時、ランゴバルトに脇腹を蹴られたんだ。とんでもない勢いで壁に叩きつけられたから、骨など折れて当然である。というか、肋骨だけでなく腰骨にまでヒビが入っているようだ。これでは上手く歩けない。 「アクセル、大丈夫かい?」  兄がボックス席から離れ、遺体回収班と一緒にフィールドまで乗り込んでくる。  兄の姿を見た途端、一気に力が抜けてしまって、アクセルは縋り付くように兄に凭れかかった。 「兄上、ちょっと手を貸してくれ……」 「はいはい。とりあえずよく頑張ったね、お疲れ様」  軽く頭を撫でられた後、当たり前のようにひょいと背負われる。

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