1227 / 2199
第1227話
自分の身体と一緒にピピの身体も丁寧に洗ったら、張っていたお湯がいつの間にか薄く汚れていた。
――そういや、鍛錬にかまけてまたピピを風呂にいれそびれていたな……。
せっかく露天風呂を作ったのに、これでは意味がない。餌やりと同様、これも習慣づけないとダメだ。
そこそこの時間をかけてピピを綺麗にし、ついでに自分の汗も流して、最後にお湯を捨てて露天風呂を洗った。
そんなことをしていたら、とうとう兄が痺れを切らしたらしく、
「アクセル、いつまでお風呂入ってるの? もうご飯できてるよ」
「……あ、すまない。今行く。……ところで、何を作ったんだ?」
「お肉たっぷりのサンドイッチとシチューだよ。身体を動かした後はタンパク質が欠かせないからね♪」
「そ、そうか……」
案の定なメニューに、内心でこっそり溜息をつく。個人的にはそんなガッツリしたものじゃなくて、豆のスープ等のシンプルなものでよかったのだが。
気を取り直し、ベランダにあるテーブルと椅子に腰かけ、兄が作った昼食を口にした。天気のいい日は、こうして陽を浴びながら外で食事をするのが日課なのだ。
「ごちそうさま。少し休んだら鍛錬してくる」
「おや、随分張り切っているね」
「兄上と早く死合いがしたいからな。それにはもっと強くなってランクを上げなくては」
「そうかい。いいけど、頑張りすぎないようにするんだよ?」
「ああ、わかってるよ」
食器の片付けも全部兄に丸投げし、アクセルは早速愛用の二刀小太刀を持って庭に出た。
自分のランクマッチバトルは今日終わったから、しばらく飛び道具を使うことはない。やっといつもの鍛錬に戻ることができると思うと、なんだかホッとした。やはり自分は、小太刀を振るっていた方が性に合っている。
「さて、と……」
準備体操がてら念入りにストレッチし、腕立て伏せや腹筋、素振りを行った。走り込みは胃の内容物を消化し終わってから行うことにした。
ともだちにシェアしよう!