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第1232話

 普段通りの朝食を済ませ、食器の片づけをしてから、アクセルは愛用の二刀小太刀を手にした。 「兄上、今日は一緒に鍛錬しないか? 時間が空いたら手合わせもしてみたいし」 「あー、そうだね。じゃあ久々にケイジの修行場に行ってみる? 自分がどれだけ成長したか、確かめるにはちょうどいいだろう?」 「ああ、わかった。今度は気絶しないように頑張るよ」  山の麓にある「ケイジの修行場その①」に到着する。  一番初めに来た時は滝に打たれただけで気絶してしまい、自分の未熟さを思い知らされたものだ。  二回目はミューと喋りながらなんとか三〇分耐えきったが、隣にいるミューは極太の丸太三本を担いだ上で滝に打たれていたので、自分との実力差を見せつけられたものである。 「さてと、やろうかな」  兄は修行場にあった丸太を適当に担ぎ上げ、ザブザブと水の中に入っていった。そして滝の下に潜り込み、当たり前のように滝に打たれ始めた。  ――よし、俺も……!  アクセルも兄の真似をして、その場にあった丸太を担いだ。兄のものよりやや細かったが、見た目に反してかなりずっしりしていた。  それを担いだまま、水の中に入っていく。相変わらず氷のように冷たくて、入った瞬間は冗談抜きで飛び上がりそうになった。 「大丈夫かい? いきなり無理しちゃダメだよ」 「い、いや、大丈夫だ。冷たさに慣れてしまえば、意外とイケる」  実際、思ったほど辛いとは感じなかった。  上から落ちてくる水は石のようだったけど、肩や首を潰されないくらいにはなったし、下半身で踏ん張れるようにもなっている。何だかんだで、毎日の鍛錬の成果は出ているみたいだ。それを目の当たりにすると、やはり嬉しくなる。 「本当に強くなったねぇ……。足腰も成長してるし、スタミナもついてきてる」 「ああ。いつまでも兄上の後ろにいるわけにはいかないからな」 「…………」 「兄上に追いつけるように、これからも頑張るよ」

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