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第1246話

 アクセルは改めて魔法のドラムに目をやった。ちょうど洗濯が終わったところだった。  綺麗になった衣服を取り出し、籠に詰め込みながら言う。 「……ありがとうございました。いろいろお話できてよかったです」 「そうか。ま、お前さんが満足したならそれでいいよ」 「帰ったら兄と話してみます。腹を割って話し合えば、考えのズレも埋められるはずだし」 「そうだな。頑張れよ」  ぺこり、と頭を下げ、籠を持って立ち上がった。  そのまま家に帰ろうとした時、ジークが後ろから忠告してきた。 「ただし気をつけろよ? ああ見えてフレインは、変なところで繊細でめんどくさい。弟の前ではあまり弱みを見せられないっていうプライドもある。強引に話をしようとしたらますます頑なになっちまうからな、言い方には十分注意しろよ?」 「……わかってますよ」  少し苦笑しつつ、今度こそアクセルは家に帰った。  ――弱みを見せられないってのは、何となくわかる……。  何せ自分とは十歳以上も歳が離れているのだ。両親もおらず、頼れる人が誰もいない状況では「私がしっかりしなきゃ」と思うのも当然である。  ただ、もう少し頼ってくれてもいいのにな……と思わんでもない。アクセルだって、もう守ってもらってばかりの子供ではないのだ。困ったことがあるなら、もっと気軽に相談してくれよ……と思ってしまう。  もっとも、兄・フレインの立場では、余計に弟には相談しづらいというのもあるのかもしれないが……。 「ただいま」  家に帰り、洗濯籠を置いて中の衣服を取り出す。それを全部綺麗に畳み、兄と自分のもので分け、それぞれのベッドの上に置いた。 「おかえり、アクセル。ちょうどご飯できたところなんだ。早速食べようか」  兄が呼びに来たので、アクセルはリビングに赴いた。  いつものテーブルには真ん中にドーンと大きな鍋が置かれていて、横には大量に切り刻んだ食材が用意されていた。

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