1247 / 2197

第1247話

「な、なんかすごい量だな……。こんなに食べられるのか?」 「もちろんだよ。鍋ならどうせ全部煮ちゃうし、煮込めば嵩も減るから食べやすいでしょ」 「まあな……」 「さ、いただこうか。豆乳鍋だから、お前もいっぱい食べてね」  豆乳鍋の元を入れ、肉や野菜を入れてぐつぐつ煮込む。  しっかり煮込んだ野菜をごまだれで食べたら、とても美味しかった。肉の旨味がスープに溶け込んでいるせいか、普通の煮込み料理より美味しく感じる。 「お前、肉ももっと食べなさい」  と、兄がこちらのお椀に肉を入れてくる。 「今日はみっちり身体動かしたんだから、きちんとタンパク質取らないと筋肉にならないよ」 「う、うん……そうだな」 「スープもちゃんと飲んでね。豆乳だから、大豆のタンパク質がたっぷり含まれているはずさ」 「…………」  言われながら、今度は「世話焼き兄さん」みたいになってるな……と思った。弟に「もういらない」と言われるのが怖くて、あれやこれやと世話を焼いて必死になっている感じ。  気持ちはわからんでもないけど、そんなことしなくても兄を「不要」だなんて思ったりしない。むしろ自分の方が、兄にいろいろ迷惑をかけて愛想を尽かされそうなのに。 「兄上」  アクセルは真面目な口調で言った。 「俺は、これからもずっと兄上の側にいるよ。例え兄上を同じくらい強くなっても、兄上をいらないなんて思うことは絶対にない。それだけは頭に入れておいてくれ」 「え……」 「ほら……俺はこの通り、危機感が薄いし罠にもしょっちゅう引っ掛かっちゃうし。兄上が助けてくれないとすぐ棺行きになっちゃうんだよな。この歳になっても兄頼りとか『甘ったれ』と思われそうだけど、今更この性格は変わらないし……だからこれからも、側で俺を見守ってくれると嬉しい」 「アクセル……」  兄は目を丸くしてこちらを見た。鍋をよそっていた手も止まった。

ともだちにシェアしよう!