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第1249話

「ホント、お前は全然変わらないね。ランクが上がっても昔の純粋なままだ」 「そりゃあ、俺は俺だからな。いくら実力がついても、中身は同じだよ」 「その通りだね。いくつになっても真面目で純粋で……ちょっと手がかかるところも、私にとってはたまらなく愛しい」  兄は少し箸を止めて、言った。 「……いやね、そこまで深刻に悩んでいたわけじゃないんだよ。お前が強くなるのは純粋に嬉しいし、早く死合いをしたいっていうのも嘘じゃない。でも最近、目に見えてどんどん成長していくから、ちょっと寂しくて。もう小さい頃のお前はいないのかなぁ……とか、このままもっと強くなったら一緒に鍛錬してくれなくなるのかなぁ……とか、いずれ私の助けも必要としなくなるんだろうなぁ……とか、そういうことを考えたらつい、ね」 「だからそんなことないって」 「お前はそういうだろうね。でも私としては、ちょっと複雑なんだよ。子供の成長は嬉しいけど、巣立っていくのは寂しい親心ってやつ?」 「それは、まあ……気持ちはわかるけどな……」 「あとは単純に、鍛錬中につまらないミスをして自分に呆れてしまって。普段はペース配分を間違えることなんてないけど、最近鍛錬をサボっていたせいか思った以上に筋力が落ちてしまっていた。それを早く取り戻そうと焦っていたのかもしれないな」 「ええ……? あれで落ちてたのか? 俺なんかよりずっとできていたように見えたが」 「落ちてたの! 以前は鉄棒から落ちることなんてなかったんだよ」  と、少しおどけた表情で笑う。 「まあそういうわけで、全ては私の気持ちが下がっていたことが原因さ。お前が悪いことはひとつもない。心配させて悪かったね」 「そ、そうか……それならよかったが」 「でも、しばらくは一緒に鍛錬するのはやめようね。また自分の不甲斐なさに腹が立って、お前に八つ当たりしてしまうかもしれない」 「ええ? 俺は兄上と鍛錬できて嬉しいんだけどな……」

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