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第1256話*

 正直、兄にいじめられるのは嫌いではない。感じて気持ちよくなっているのは本当だし、気絶しそうなほど凄まじい快感が得られるのも事実だ。  ただ、わざといじめられるのは何とも複雑である。  最近は特に手酷くいじめられることが多いため、「これは本当に愛情からくる行為なんだろうか」、「俺の反応が面白いだけなんじゃないか」と疑わしくなることもあった。  初めて抱かれた時は、「セックスは愛情を確かめ合う行為だよ」って教えてくれたのにな……。 「もちろん、いじめるのはベッドの上限定だけどね。私生活でもいじめてたら、それはただの虐待だし」 「……!」 「お前をいじめられるのは、私だけの特権。他の人には絶対許さない。そうだろう、アクセル?」  そんな風に囁かれた途端、不覚にも胸が高鳴った。先程のモヤモヤが嘘のように晴れ、兄を疑っていた自分が少し恥ずかしくなってくる。  ――そうだよな……兄上がいじめてくるのは、こういう時だけだ……。  普段は甘すぎるのではないかというほどこちらを可愛がってくれるし、兄としても戦士としても、様々なことを教えてくれる。  時々、「これは教えてもらわなくてよかったかも」と後悔することもあるが(それこそ、このボールチェーンに関しては永遠に知らなくてよかった気がする)、兄がいてくれたおかげで、自力では得られない知識を得ることもできた。  どんな目に遭わされても、やはり自分は兄なしでは生きていけないのだ。 「あ、にうえ……」  ひくん、と身体を震わせつつ、アクセルは首を捻った。 「あの、次は……」 「おや、性急だね。道具使われるの、楽しみなのかい?」 「そ……じゃなくて、早く兄上、を……」  さすがに本物が欲しいです、とは言えず、言葉を濁して伝える。  道具でも感じるけど、やっぱり兄そのものを挿れて欲しかった。欲望と愛情の塊を、身体の奥で感じたい。  だから、道具を使ったプレイは早めに通過してしまいたかった。

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