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第1262話*

「ああ、あっ……あっ……!」  戸惑っている間もなく、そのまま一気に最奥まで貫かれてしまう。  達したばかりだから内部もいつもより敏感になっており、欲望の形までハッキリと感じ取れた。浮き上がっている血管すらもわかってしまい、その淫靡さに勝手にぞくぞくしてくる。 「はあぁ……いい……! お前の中、熱くてぴくぴくしてて本当に気持ちいい……! 柔らかいのにきゅうきゅう締め付けてくるのも最高……!」  一方の兄も、今までにないほどの愉悦を感じているみたいだった。  目元は紅潮してこめかみからは汗が滴り落ち、さも満足げな笑みを浮かべている。 「この気持ちよさ、お前にも教えてあげたいよ。好きな子に包まれているって、本当に気持ちよくて幸せなことだよね」 「……!」 「ああでも、お前は好きな人を咥える方がいいんだっけ? いつぞや、『俺は下の方がいい』みたいなこと言ってたよね」  そのようなニュアンスのことを言った覚えはあるが、あれは「咥えるのが好き」という意味ではなく、「兄を抱くのはいろんな意味で性に合わないから、それなら自分が下になった方がいい」という意味だったのだが……。 「んあっ! あっ、あっ……あぁん!」  軽く身体を揺さぶられただけで、甘ったるい喘ぎ声が漏れてくる。  この声を聞く度にまるで自分の声ではないみたいな違和感と現実味のなさを覚えるが、ある意味、兄とこうして抱き合えること自体が夢のような出来事なのかもしれない。少なくとも生前には考えられなかった。  ここまで淫乱な身体になるつもりはなかったけれど、それも夢の中だけの体質だと思えば開き直れる。こういう時だけは、少しくらい楽しんでもいいかなと思えてくる。 「ああ、あ……兄上ぇ……」  アクセルは両腕を伸ばして兄にしがみつき、自ら脚を開いて兄を受け入れた。たくましい腰回りに足首を絡め、ぐっとこちらに引き寄せてやる。

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