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第1266話*

 元より離れる気など皆無だが、そんなこと言われたら何があっても側にいたくなってしまう。どんな目に遭わされても、兄のやることだからと全部許してしまいそうになる。 「あっ、あっ……あぁあ……っ」  身体を横向きに捩じられ、片脚だけ持ち上げられて、再び強く腰を打ち付けられる。  横から突かれると変な角度からイイところに当たり、いつもとは違う痺れにまた意識が飛びかけた。 「あ、にうえ……」  快感に悶絶しながらも、力を振り絞って兄に手を伸ばす。  苦し紛れに兄の腕を掴み、懸命に自分の気持ちを吐露した。 「俺、も……兄上が好き……! 今も、昔も、これからも……ずっと大好き……!」 「……うん」 「だから、何があっても……うっ!」  再びゴリッと柔らかいところを抉られ、肝心なところで言葉が途切れてしまう。最後まで伝えたかったのに、言葉に出来なかったことが悔しかった。  もう一度……と麻痺した唇を動かし、はっきり言おうとした時、 「……大丈夫、わかってるよ。お前の気持ちはちゃんと伝わってる」  と、兄に優しくキスを落とされる。  唇を軽く啄まれ、隙間から舌を差し込まれ、甘い唾液をたっぷり注ぎ込まれた。  アクセルも兄に応えようと、ぎこちないながらに舌を絡め、腹の奥に力を込めて内部をきゅうっと縮めてやった。  わざと締め付けたら兄が「んっ……」と心地よい鼻息を漏らし、欲望を一回り大きく膨らませてくる。この圧迫感が今は気持ちいい。 「ああもう、本当に最高……! 愛してるよ、可愛いアクセル……」 「お、れも……あんっ!」  受け止めきれない快感に飲み込まれ、いよいよ意識が飛びかけてくる。  それでも、今のアクセルは幸せだった。  ヴァルハラでの生は無限なので、これから先も喧嘩やすれ違い、誤解やトラブルは発生するだろう。  でも根底に愛があれば――お互いを大切に思い合う気持ちがあれば、どんなことでも乗り越えられると信じている。

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