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第1268話
はて、兄に洗ってもらったんだろうか。残念ながら全く覚えていない。
まあいいや……と思いつつ、アクセルはベッドから下りた。昨夜さんざんやりまくった割には、腰痛も思ったほどではなかった(思ったほどではなかっただけで、当たり前に痛かったけど)。
「やあ、おはよう。調子はどうだい?」
リビングに行ったら、兄が当たり前にテーブルに座っていた。
向かいの席にはトースト等の軽食が用意されており、そこにラップがかかっている。
「朝ごはんできてるから、食べられるようだったら食べて。お風呂も沸いてるから、入りたければ入りなさい」
「ああ、ありがとう。じゃあ先に風呂に入ろうかな……」
脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入ったら本当に湯船にお湯が張ってあった。湯加減もちょうどよくて、浸かった途端全身の疲れが取れていくような感じがした。
――ホント、こういう時は至れり尽くせりだな……。
食事も入浴もベッドの後始末も全部やっておいてくれるなんて、逆にこそばゆくなってしまう。
まあ、やりっぱなしのままほっとかれるよりは全然いいが、知らない間に中まで洗われていたのかと思うと、兄相手とはいえちょっと恥ずかしい。
回数を重ねても気絶しない程度には、体力をつけられたらいいのだが……。
そんなことを考えつつ、アクセルは軽く髪と身体を洗い、風呂の栓を抜いてお湯を捨てた。そして普段着に袖を通し、リビングに戻った。
アクセルが風呂に入っている間に食事を温め直しておいてくれたらしく、皿の側には湯気の立っているコーヒーが置かれていた。本当に、何から何まで至れり尽くせりである。
「ところで、さっきから何を見てるんだ?」
食事をしながら尋ねる。
兄はテーブルの上に何枚かの書類を並べており、その紙に時折何かを書き込んでいた。主に図面のようだが、一体何の図なんだろう。
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