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第1269話
「あ、これ? 新しい間取り図だよ。そろそろ家を改築してもいい頃かなと思って」
「改築? 別に今のままでも不便はないが……新しい部屋でも欲しくなったのか?」
「部屋というより庭がメインかな。今はピピちゃんの小屋と露天風呂、武器庫があるじゃない? でも庭で鍛錬することも多いから、鍛錬場も含めて整備し直したくて。で、そこまで大規模にやるならいっそ家まで改築しちゃおうかなと思ったわけ。この家もそれなりの期間住んでるしね」
「そうか。そこまで年季が入ってるとは思わないが、兄上が改築したいっていうなら俺も手伝うぞ。俺はあくまでここに住まわせてもらってる立場だしな」
そう言ったら、兄は軽く笑ってきた。
「そうかもしれないけど、お前のランクも上がったことだし、完全な居候とも言えないんじゃないかな。二桁まで上るのは普通に大変だし、そこまで行けば一人でこの家に住むのも許されると思う」
「いや、それは……え?」
あまりにサラッと言われたので、危うく聞き逃すところだった。
「え、ちょっと待ってくれ。今なんて言った?」
「ん? 一人でこの家に住むのも許されるって」
「いや、その前。俺のランクがどうって言わなかったか?」
「ああ、そっちね。今日最新のランク発表があって、確認したらお前のランクだいぶ上がってたんだよ。世界樹 の前に貼り出されてるから、後で見ておいで」
「えっ!? 本当か!? ちなみに何位だった?」
身を乗り出さんばかりのアクセルを、兄は窘めるように言った。
「それは自分の目でチェックしてきなよ。その方が私から聞くより信じられるでしょ」
「そ、そうか……そうだよな……」
「ご飯食べたら行っておいで。私は今日はずっと家にいるし、そのまま鍛錬に出掛けてもいいよ」
「ああ、わかった」
アクセルは急いで朝食を平らげた。あまりに急いだのでトーストを食べている時に噎せそうになり、「そんなに慌てるんじゃないの」と兄に呆れられた。
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