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第1272話
兄もユーベルも細かいルール違反があったからなのか、微妙にポイントを減点されているようだった。
――そうか……この辺の上位陣は、ポイントも団子状態だからな。ちょっとのミスですぐに順位が入れ替わっちゃうわけか。
この結果を見るに、ランクマッチバトルは「如何にルールを破らず戦うか」が大事なのかもしれない。白熱してきたからといって、後先考えずに暴れ回ってはいけないということだ。戦うことが生業の戦士 にとっては、少々やりづらいバトルである。
「なるほどな……。ルール違反者が軒並みランクを下げたから、相対的に俺のランクが上がったってことか……。それは喜んでいいのかどうか……」
「いいんじゃね? 理由はどうあれ、上がったことには変わりないんだからさ。アクセルの実力なら、もっと上がってもいいくらいだよ」
「そうかな……。俺は弓も下手くそだし、戦闘中も未熟な行動ばかりしてる気がするぞ。もっと鍛錬しないと、すぐに三桁に落ちてしまいそうだ」
「今でも十分頑張ってると思うけどね。単純な鍛錬量で言うなら、フレイン様より明らかにアクセルの方が多いよ」
「いや、兄上は俺が見ていないところで毎日鍛錬してるんだ。ゴロゴロしてるように見えても、常に腹に力を込めていたり体幹を鍛えていたりしてるんだよ」
「へえ? あまりそうは見えないけどね……」
「まあ、見た目はな。それでも、実際の死合いや手合わせを見てみると実力は一目瞭然だから……。俺はまだまだだなって痛感させられるよ」
兄の死合いを見る機会は何度かあるが、何度見てもその実力に圧倒されてしまう。返り血ひとつ浴びず華麗に太刀を振るっている様など、あまりに雄々しくてつい鼻血が出そうになる。
それと同時に、「今の俺じゃ、兄上と戦っても滅多斬りにされるだけだな」と冷静な思いが駆け巡るのだ。
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