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第1273話

 今の自分が兄と死合うなんてとんでもない。自分にはまだその実力はない。もっと強くなって兄の動きについていけるくらいにならないと、また一方的に斬られて終わってしまう。  ただでさえなかなかマッチングしないのだから、今度こそ対等な実力で死合いたいのだ。そのためには、二桁に上がったくらいで満足していてはいけない。もっともっと強くなって、いざ兄とマッチングした時に困らないようにしないと。 「ところでアクセル、今日は何か予定ある? たまには一緒に市場に買い物でも……」 「いや、今日はこれから鍛錬するよ。のんびりしていたら、兄上に追い付くことはできないからな」 「え、そう? 相変わらずアクセルは真面目だなぁ」 「それしか取り柄がないんだよ。俺は兄上より何もかも劣ってるから、その何倍も努力しないとダメなんだ」 「何もかも劣ってるってのは言い過ぎじゃね? オレはアクセルのいいところ、いっぱい知ってるけどな」 「ありがとう。そう言ってくれるのは嬉しいよ」  軽く笑いかけ、アクセルはもらったランキング表を四つに折り畳んだ。そしてそれをポケットにしまうと、チェイニーに言った。 「とにかく助かったよ。ランキング表ありがとう。じゃあ、また今度な」 「ああ、うん……そうだね。鍛錬頑張って」  チェイニーと別れ、アクセルは早足で家に戻った。  背後でチェイニーが、 「ほんと、相変わらず鈍感だよなぁ……」  と呟いていたのだが、アクセルの耳には入らなかった。 「ただいま、兄上。確認してきたぞ」  帰るなり、アクセルはもらったランキング表をテーブルの上に置いた。そして早速兄に向かって愚痴をこぼした。 「俺のランクは九十七位だった。しかし、兄上が四位に下がっているのは納得できないぞ。兄上のバトルを見ていたが、減点されるほどのルール違反はなかったはずだ」 「あー……それはどうなんだろう? 判断するのはヴァルキリーだから、こちらとしては何とも言えないな。まあ、そんなのどうでもいいじゃない」

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