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第1278話

「これ使って、オレの故郷の味を作ってみてくれよ。以前チャレンジした時はちょっと違う味になっちまったからな。リベンジがてらのお祝いだ」 「は、はあ……。別に作るのは構わないが、リベンジがてらのお祝いってどういうことだ? 俺へのお祝いじゃないよな?」 「おう、これはオレへのお祝いだ。ランキング表にはギリギリ載ってなかったけど、オレも一〇三位にランクアップしたんだぜ? 我ながら、かなり頑張ったと思うね」 「えっ? そうなのか? それはおめでとう」 「ありがとよ。てか、ちゃんと見てなかったのか。でっかい看板にはしっかり書いてあったんだけどな」 「あまりに混んでたから、ランキング表だけもらって引き上げたんだよ……」  それに、自分のだけ確認できれば満足だったし……と心の中で付け足す。 「あ、そう。まあとにかく、お互いおめでとうってことで。お祝いのスープ、頼んだぜ」  そう言って、当たり前のように鍋を置いていこうとするアロイス。 「……って、ちょっと待ってくれ。本当に俺が作るのか? 俺には何もなし?」 「固いこと言うなよ。アクセルはフレイン様にお祝いしてもらえるけど、オレはランクアップしたところでお祝いしてくれるヤツなんかいないしさ」 「……!」 「アクセル、料理得意だしスープ作るくらい楽勝だろ? オレの故郷のスープ、今度こそ再現してみてくれよなっ!」  言いたいことだけ言って、アロイスは勢いよく荷台を引いて帰って行った。足下には空っぽの鍋だけが残った。 「やー、アロイスもなかなか変わってるよなぁ。人からお祝いされるのを待つんじゃなくて、自分からお祝いされにくるとはね」  話を聞いていたチェイニーが、やや呆れた顔で腰に手をやる。 「ま、アロイスの言うことも一理あるかもな。身内がヴァルハラにいるならともかく、普通の人は、頑張ってランクアップしたところで祝われることなんて滅多にないからさ」 「……まあ、そうかもな」

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