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第1291話
「兄上ぇ……」
とうとう我慢できなくなり、アクセルは子供のように泣きじゃくった。いい歳をした大人がみっともないとは思ったが、自分の気持ちが溢れるのは止められなかった。
「……俺も、兄上が好き……兄上が、大好き……」
「うん、わかってるよ。だからこれからも、兄弟仲良く生きていこうね」
「俺……これからも、兄上に、いっぱい迷惑……かけると思う……。それでも、一緒に生活、してくれるか……?」
「もちろんだよ。当たり前じゃないか。お前は私の唯一の家族だもの。離れたいって言われても離してあげないよ。仮にお前が一人暮らししたくなっても、『庭に別邸建てるからそこに住め』って言っちゃう。だから何も心配いらないよ」
兄が指で目元を拭い、涙を取り除いてくれる。
「ほら、もう泣かないで。泣いてる顔も可愛いけど、私はそれ以外の顔の方が好きだな。……さ、ホットミルク飲んで。おかわりいるかい?」
マグカップに残っていたホットミルクを差し出してくる。しばらく放置していたので冷めてしまっていたが、ほんのりした甘さが舌に心地よかった。
ほっ……と息を吐いて気持ちを落ち着かせていると、
「それで、まだお仕置きは必要かい?」
「……え? ……あっ」
自分が言ったことを思い出し、どくんと心臓が跳ね上がった。そう言えば、勢い余って「お仕置きしてくれ」と頼んだことを忘れていた。
「あ、あの……それは……ええと……」
みるみる頬が熱くなってくる。
気が動転していたとはいえ、自分はなんてことを頼んでいるのか。進んでお仕置きプレイを頼むなど、好き物と思われてもおかしくない。穴があったら入りたいくらいだ。
「どうする? 私はどっちでもいいよ? お仕置きじゃなくて普通のプレイでも全然OKだし。今日は疲れたっていうなら、やらなくてもいいし」
「っ……」
「お兄ちゃんはお前に合わせるよ」
「…………」
アクセルは迷った。
自分から兄を求めるのは恥ずかしい……が、兄の愛情を実感したいという気持ちもある。
でも鍛錬でクタクタになっているのも事実で、実際にやらかしたとして最後まで体力が保つかという不安もあった。
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