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第1298話*
「はぁ……また……。お前、わざと私を煽ってない?」
「煽って、ない、です……」
「ええ? 本当に無意識なの? だとしたらとんでもない魔性だね……」
「っ……ま、魔性って……」
「だって意図せず相手を煽ってるってことだからさ。こんなことされたら、みんな一発で虜になっちゃう。お前がモテるのもわかる気がするな……」
「んっ、あっ! ああっ、あ」
兄が腰を動かしてくる。
奥をトントン突かれながら柔らかい部分を擦られ、硬いものでゆっくりと内襞を掻き回された。
でも強すぎて悶絶するほどではなく、与える刺激をわざと調整しているのがわかる。
そんな無言の気遣いも、アクセルにとってはたまらない幸せだった。
すると兄は苦笑交じりにこちらに口付け、耳元で諭してきた。
「……お前、本当に気を付けなさいよ? 変な男に声かけられても、すぐについて行かないこと。少しでも『おかしいな』と思ったら無理にやっつけようとせず、逃げるなり助けを呼ぶなりすること。でないとお前、いつか本当に知らない男に攫われちゃうよ。こんな可愛い子を、他のヤツが放っておくわけないもの」
「そ、な……俺は、他の男になんか興味な……うっ」
「お前が興味なくても、相手は興味津々かもしれないだろう? 浮気云々より、お兄ちゃんはそっちの方がずっと心配だよ。お前はあまりにお人好しで、悪意に騙されることも多いんだから」
それに関しては否定できない。今までのことを思い返すと、ハッキリ「大丈夫だ」と言い切れないところが辛かった。口説いてくるだけなら断ることもできるが、こちらを騙して無理矢理どこかに連れ去り、監禁してくるヤツだったらどうすることもできない。
「お前が私のこと大好きなのは知ってる。お前は一途で真面目だから、浮気の心配もほとんどしてない。でも、攫われることだけはどうしても心配なんだ。私もエスパーじゃないから、お前のピンチに間に合わないこともあるかもしれない。だからどうか、警戒心だけはしっかり持っててね。変な男に騙されないようにするんだよ」
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