1301 / 2195

第1301話

 ……結局、その後のことはあまり覚えていない。  さんざん鳴かされた記憶はあるが、途中から意識が途切れまくって状況がはっきり認識できなかったのだ。  自分が何回極めたのかもちゃんと数えられなかったが、常にイきっぱなしの状態だったため、どの道正確にはカウントできなかったと思う。 「…………」  朝目覚めてすぐ、アクセルは水分補給をしにキッチンに向かった。  行為の翌日はいつもものすごく喉が渇く。あらゆる水分を絞り取られた後みたいに、唇までカサカサに干からびている気がした。何でもいいから水が飲みたかった。  キッチンに入り、作り置きしているハチミツ入りレモン水を容器から直接がぶがぶ飲む。  渇ききった身体に水分が沁み込んでいき、容器半分ほど飲んだところでようやく一息ついた。 「おや、起きてたの? おはよう」  兄が、濡れた髪をタオルで拭きながら入ってくる。どうやらシャワーをしていたらしく、ほのかにシャンプーの香りが漂ってきた。  兄はアクセルが持っていたレモン水の容器を取り上げ、同じように口をつけてそのまま残りを飲み干した。 「それでお前、今日の予定は?」 「ああ……どうしようかな。いつもの鍛錬はするつもりだが、全身筋肉痛だし……今日は無理せずスープの再現に挑戦しようかな」 「ああ、アロイスくんにリクエストされたやつね? じゃあ頑張って。お兄ちゃんは適当に出掛けてくるよ」 「適当に……って、行き先は決めていないのか?」 「まあね。たまにはブラブラするのもいいんじゃないかと思って」 「そうか……。夕飯までには帰ってくるんだよな?」 「もちろん。遅くならないように帰るつもりさ」  その後、昨日の夕食の残りを温め、朝食として片づけることにした。空腹だったせいか必要以上に食べてしまい、食後すぐは満腹で動けなかった。  ――さてと……。  食休みも済んだので、アクセルは庭に出て軽く走り込みを行った。いつもと同じ距離を走ろうとしたのだが、何となく身体が重くてあまり距離が稼げなかった。

ともだちにシェアしよう!