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第1302話

 今日はダメだ……と諦め、早々に家の中に戻る。兄は既に出掛けてしまったようだった。どこに行ったのか知らないが、兄のことだから物理的な心配はいらないだろう。  浮気は……まあ、弟が元気で側にいる間はしないと信じている。 「ええと、材料は……」  早速アクセルは、豆のスープに必要な材料をかき集めた。ベースとなる豆はもちろん、豆乳に玉ねぎ、ニンジンも使われていたはずだ。  まずアクセルは、ベースの豆をたっぷりの水で茹でた。その間に玉ねぎやニンジン等の具を、一口サイズに切っておく。  そして茹で上がった豆を全部ザルにあけ、なるべく細かく切り刻んだ後ヘラで丁寧に擦り潰した。この作業が一番地味で時間がかかった。ミキサーがあればよかったが……残念ながら、今まで必要な場面がなかったので用意していない。今度はちゃんとミキサー買っておこう……。  そうしてペースト状にした豆を、温めた豆乳で少しずつ伸ばしていく。  スープ状態になったところで、切っておいた野菜を鍋に投入し、コンソメも入れて一緒に煮込んだ。そのまましばらく煮て、塩・コショウで味を整えたらおおよそ完成である。 「……こんなもんかな?」  昨日の味を思い出しながら、一口味見をしてみる。  舌触りは少し荒いが、味はだいぶ寄せられた。豆の味もしっかり出ているし、コンソメも主張しすぎず、野菜の旨味も溶け出している。これならアロイスも満足してくれるはずだ。  せっかくなら作りたての方が美味しいだろうと思い、一言書き置きをしてからアクセルは家を出た。台車に重い鍋を乗せて運んだので、結構な運動になった。 「アロイス、いるか?」  山の麓にある小屋の外から、声を張って呼びかける。中からドタバタ音がしているのでいるのは明らかだ。が、なかなか出てきてくれない。  ――今度は何してるんだ……?  また無茶な重量上げをしてるんじゃないだろうな……と、一度ノックをしてからドアを開けてみる。

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