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第1309話

「やっぱり、関係者には会えないのか……」  少し残念に思う。できることなら直接会わせてあげたかった。  これ、ルール無視できないんだろうか。もし無視したらどんなペナルティがあるのだろう。親しい人とちょっと会話したくらいで、そこまで面倒なことになるとは思えないのだが……。  そこまで考えかけ、ぶんぶんと頭を振る。  ――いやいや、さすがに実行したらマズイよな……。  ペナルティがあることを承知していながら、アロイスに「お母さんに会いに行こう」なんて言えるわけがない。軽い罰ならまだしも、破魂レベルのペナルティだったら取り返しがつかなくなる。  アクセルにできることは「おふくろの味」とやらをしっかり覚えて、完璧に再現してあげることだけだ。  そうしてしばらくスープを煮込んでいると、兄が帰ってきた。 「ただいま、申し込みしてきたよ」 「おかえり兄上、ご苦労様」 「ついでに『大事な書類は戦士全員に配布してください』って異議申し立てをしてきたよ。そしたら『戦士全員なんて手間はかけられません。上位ランカーなら上位ランカーらしく、下位ランカーの面倒を見てやったらどうですか』って逆ギレされちゃった。やんなっちゃうねぇ」 「ええ? 何だよそれ。そんなの、ヴァルハラを管理する資格ないだろ」  ヴァルキリーの無責任さに、さすがにイラッとする。  向こうは一方的に自分たちが作ったルールを押し付けてくるくせに、こちらにはそれを周知させてくれない。それどころか、すぐに逆ギレして責任転嫁してくる。正直、管理者としていかがなものかと思う。  すると兄は、苦笑しながらこう言った。 「うーん……もしかしたら彼女たち、昔、私たちが革命を起こしたのを根に持ってるのかもしれないなぁ」 「……革命?」 「ほら、お前が来る前はヴァルハラの治安が悪くて、上位ランカーがやりたい放題してたって言ったじゃない? それを今の形に是正して、警備係を増やしたり、ルール改定を行ったりして、独自に整備したんだよね」 「ああ……そんなこと言ってたな」

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