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第1310話

「でも、本来それはヴァルキリーの仕事だからさ。勝手にヴァルハラを整備したのを快く思っていないのかもね。思えば、ヴァルキリーたちが冷たくなったのって革命後だった気もするし。オーディン様の眷属(エインヘリヤル)のくせに、自主的に何かしようとするなんて生意気だ……ってことなんだよ、きっと」 「ええ……? 何だその理由は。くだらなさすぎるだろ」  むっと口を尖らせる。  そもそも、ヴァルキリーがしっかりヴァルハラを管理してくれれば、兄たちも革命を起こす必要なんてなかったのだ。自分たちの怠慢が招いたことなのに、それを逆恨みして根に持つなんてどういう神経をしているのだろう。  すると兄が、苦笑しながら手を振った。 「ま、ヴァルキリーにとって戦士(エインヘリヤル)なんてのは、人間にちょっと毛の生えた下等生物でしかないからさ。いっぱしに何かを起こしたり、意見を言ったりすること自体生意気……って発想になっちゃうんだよ。もともとヴァルキリーは気位が高い人ばかりだし、下等生物に噛みつかれたら逆ギレするのも理解はできるね」 「……俺は理解したくないよ。何でそんな理不尽に見下されなきゃいけないんだ。ヴァルキリーってそんなに偉いのか? 同じ神族でも、バルドル様やホズ様は全然偉ぶらないのに、何様のつもりなんだろう」 「バルドル様やホズ様はいい人だからね。それと、バルドル様やホズ様をヴァルキリーたちと一緒にしたら可哀想だよ。彼らはオーディン様の実子だから、神族の中でも別格の立ち位置なんだ。適当に集められたヴァルキリーとは雲泥の差だよ」  だとしたら尚更、ヴァルキリーたちがあんな態度なのかが納得できない。バルドル様やホズ様に言いつけてやりたいくらいだ。  ――まあ、言いつけたら言いつけたで、また逆恨みされそうだけど……。  腹を立てながらスープの中身を掻き回していると、兄が軽く肩を叩いてきた。

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