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第1320話
「まーたあの子は他人様に迷惑をかけたのかい!? あれほど振る舞いには気を付けろと言ったのに!」
「え……いや、そうじゃなくてですね……」
「すまないねぇ、うちの愚息が。あの子、昔っから猪突猛進で、他人様の言うことを聞かないことがあるんだよ。決して悪い子じゃないから、許しておくれ」
「いえ、そんな……。アロイスにはいろいろと世話になってますし、迷惑なんてかけられてないですよ」
「本当かい? それならいいんだけどねぇ……」
アニータは少し苦笑し、家に招き入れてくれた。
「外はもう暗いだろう? 狭い家だけど、お入り。いろいろ話も聞きたいしね」
「ありがとうございます。お邪魔します」
そう礼を言って、アクセルは中に入ろうとした。
が、ちょうど玄関に足を踏み入れた瞬間、すぐ横から棒が振り下ろされたのが見えた。
「おっと」
さすがに見え見えだったので、軽く身体を捻って回避する。
思った通り犯人は、先程鉢合わせした少年だった。
「ちっ、避けられたか」
「こらアーダン! 何してるんだい!?」
「こいつらが本当に化け物じゃないか、確かめてやったんだ。一丁前に武器なんか持ってるし、暴れられたら困るじゃん」
「この人たちは化け物じゃないよ。失礼なことするんじゃない」
ポカ、と母親に頭を叩かれ、棒も一緒に没収される少年。
それでも懲りずにこちらにファイティングポーズをとってくるので、今度は尻を蹴飛ばされていた。随分やんちゃな男の子のようだ。
「すまないねぇ……。この子、最近『訓練』と称してすぐ他人様に殴りかかろうとするんだよ。関係ない人を巻き込むのはやめろって言ってるんだけどねぇ……」
「そうなんですか……」
「アロイスみたいになりたいのはわかるけど、やたらめったら喧嘩を売ったところで意味ないと思うんだけどね」
「……!」
ハッとした時、アーダンとかいう少年がなおもこう食い下がってきた。
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