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第1326話
「そんなわけのわからない理由で、いちいち喧嘩を吹っ掛けるんじゃないよ! そんなことやってるから、あんたはいつまで経ってもアロイスみたいになれないんだよ!」
アニータが大激怒して、手を振り上げる。
思いっきりアーダンをビンタしようとしていたので、アクセルは反射的にその手を掴んだ。アニータだけでなく、アーダンも兄・フレインも驚いているようだった。
「? あんた……何で止めるんだい?」
「あの、少しアーダンとお話させてくれませんか? 決して変なことは言いませんから。お願いします」
「……あんたがそう言うならいいけどね」
アニータは手を下ろしてくれたが、兄は呆れを通り越してドン引きしているみたいだった。「何してんのお前」と言わんばかりに、こちらにじっとりした目を向けてくる。
アクセルは構わず、アーダンに近寄った。今は兄に首根っこを掴まれているので、逃走することはできない。
「何だよ! 仕返しにオレのこと殴るつもりか!? そうはいかねぇからな!」
空いている手でぶんぶん木の棒を振り回してくる。
それを片手で掴み取り、難なく取り上げて目の前でバキッと真っ二つに折ってみせた。ただの木の棒だったから、折るのはさほど難しくなかった。
「あっ……」
目の前で武器を破壊されたアーダンは、呆気にとられたようにこちらを見上げてくる。
アクセルは彼を見下ろし、視線を逸らさずに言った。
「……俺、きみの気持ちわかるよ。俺も十五歳の時に兄と離れ離れになってしまったからな。心から尊敬できる大好きな人だったから、会えなくなって本当に悲しかった。しばらくは何も手につかなくて、暴れ回る元気すらなかったものだ」
「…………」
「でもな……何もしないでボーッとしているだけじゃ、兄には再会できないってわかったんだ。そう思ったから、俺はその日から真面目に鍛錬頑張った。兄が帰ってきてくれないなら、自分が強くなれば、きっと兄に再会できる。そう信じてな……」
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