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第1327話
アーダンはハッとしたようにこちらを見て、次いで後ろの兄を見上げた。
「……それで、また会えたのか」
「そうだよ。再会までに十年以上もかかってしまったけど、結果的に頑張ってきてよかったと思っている」
「…………」
「だからきみも、本当にアロイスに会いたかったら強くなるんだ。八つ当たりのように誰かに殴りかかるんじゃなくて、基礎から訓練しなければならない。そうやって地道に努力してアロイスみたいに強くなれたら、きっとまた会えるはずだよ」
「…………」
「俺が言えるのはこのくらいかな。もちろん、聞くかどうかはきみ次第だが」
アーダンは地面を睨みつけたまま、返事をしなかった。真面目なことを言われた後はさすがに気まずかったのか、逃げるように家に戻ってしまった。
アニータがやれやれと腰に手を当てる。
「ったく……これで少しはあの子も心を入れ替えてくれるといいんだけど。あんた達、迷惑かけてすまなかったね」
「いえ、こちらこそ……。アロイスを連れて帰れなくてすみません」
「いいって。……あの子、本当はもう亡くなっているんだろう?」
「……えっ?」
いきなりそんなことを言われたので、驚愕してアニータを見た。
彼女はやや視線を伏せて、苦笑交じりに言った。
「さすがにわかるよ……。あの子、うちを出て行ってからも手紙や仕送りは欠かさなかったからね。でもある時、その仕送りもパッタリ止まって手紙も寄越さなくなっちまって。あの子、傭兵として危険な仕事をたくさんしていたらしいじゃないか。手紙には武勇伝しか書いてなかったけどさ」
「それは……」
「……あんた達、本当はアロイスの死を伝えに来たんだろう? おふくろの味を教えて欲しいっていうのも、あの子の墓前に供えてやりたいってことなんだよね?」
「…………」
どう答えればいいかわからず、アクセルは迷った。
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