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第1329話

「まあ、お前が真剣に諭してくれたから少しはおとなしくなると思うけどね。あそこまで言われてもまだわからないなら、ヴァルハラに行く資格はないよ」 「……兄上は厳しいな。あの子はまだ子供だぞ。これからいくらでも伸びしろがあるじゃないか」 「何言ってるの。お前も私も、あの子よりもっと小さな頃から戦うための訓練してたじゃない。未だに実家で燻ってるなんて遅すぎるくらいだよ」  バッサリ言い切る兄。 「それに、強くなるためには素直さも必要だからね。ダメなところを受け止めて、それを改善しようと努力できなかったら、いつまで経っても進歩しない。今後の対応で、あの子の未来は変わると思うよ」 「……そうかもな」  こればかりは、本人が自覚して頑張るしかない。「兄(アロイス)に会いたい」という思いが本物なら、少しずつでも努力していけるはずだ。 「兄上、そろそろ風呂に入らないか? もう一度湯加減確かめておくから」 「もちろん入るよ。ついでに、お前も一緒に入らない?」 「……いや、一緒に入れるほど大きな風呂ではないだろ。俺は後でいいから、兄上が先に入ってくれ」 「そうかい? 旅行先でイチャイチャできないのは残念だねぇ」  ……などとわけのわからないことをのたまい、兄はその場でサッと服を脱いだ。そしてドボンと風呂に飛び込んだ。  先程子供たちが入っていた時は大丈夫だったのだが、大人が入った途端ザザーッと溢れてこぼれてきた。危うくお湯で風呂の火が消えるところだった。 「明日スープのレシピ覚えたら、ヴァルハラに帰ろうね」 「ああ、そうだな。アロイスにも報告してやりたいし」  その後は、他愛のない会話をしながら質素な風呂を楽しんだ。 ***  翌日、アニータは約束通り「豆のスープ」を作ってくれた。 「うちの場合は、最後の仕上げにサワークリームを入れるんだよ。こうすると味が締まって更に美味しくなるのさ」 「なるほど……」

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