1333 / 2014

第1333話(アクセル~フレイン視点)

「……なんだ?」  何事かと思い、アクセルは家の外に出た。  すると、目の前には驚愕の光景が広がっていた。 ***  それより数分前のこと。  ――あーあ……気が進まないなぁ……。  家の外に出ながら、フレインは内心溜息をついた。後ろからは、木の棒を持ったアーダンが偉そうについて来ている。  ――何でこんなに偉そうなの、この子……。意味わかんない……。  子供は嫌いじゃないけど、こういう身の程知らずでひねくれた子供は苦手だ。自分の弟(アクセル)が素直で可愛いタイプだから、どうしてもそれと比べてしまう。  それとも、このくらいの年頃の男児ってのはみんなこんなものなんだろうか。弟はこんな態度絶対にとらなかったから、よくわからない。  ――仮にこれが普通だとしたら、アクセルはよっぽどいい子だったんだなぁ。  まあ、うちの弟が素晴らしすぎたと思うしかないか……。 「んで? 何をすればいいんだ? 早く強くなれる方法教えてくれよ」  相変わらず偉そうに聞いてくるアーダン。  今度こそ盛大な溜息をつき、フレインはくるりと彼に向き直った。 「……言っておくけど、早く強くなる方法なんてないからね。みんな地道に毎日鍛錬して、それで少しずつ強くなっていくんだよ。一朝一夕にどうにかなるなんて考えない方がいい」 「なんだよそれ。お前、あっちの赤い方より強いんじゃねぇのかよ」  可愛い弟を「赤い方」呼ばわりされて、ちょっとイラッとした。 「まあアクセルよりは強いけど、それはアクセルより長く鍛錬してるからだよ。少なくとも私の方が十年くらい多く鍛錬してる」 「……え、十年? お前ら、そんなに差があるのか?」 「あるよ、見た目じゃわからないけどね」  見た目の年齢はどちらも二十七歳前後だが、中身の年齢は「生前+ヴァルハラで過ごした年数」なので、もともとの十一歳差は変わっていないのだ。

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