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第1340話
「私は誰にどう思われようと構わない。お前がちゃんとわかってくれればいいんだ」
「……そうか。兄上がそう言うなら、もう気にしないようにしよう」
気を取り直し、アクセルはうさぎ小屋の掃除を再開した。新しい藁を床に敷き詰め、その上にピピ専用のマットレスを敷いたら、内部の掃除は完了だ。
その後、屋根や壁もホースで水を撒き、軽くブラシで磨いて綺麗にする。
一通り掃除を済ませ、道具を片付けていると兄が話しかけてきた。
「ところで、今日の夕食はどうする? アニータさんに習った豆のスープ、試しに作ってみるかい?」
「ああ、そうだな。なら足りない材料を買ってこなければ」
あの豆のスープには、最後の仕上げとしてサワークリームが加えられていた。残念ながらうちはサワークリームを常備していないので、市場で探してこなければならない。
「じゃ、一緒に買い物行こう。他にもいろいろ買うものあるし、荷物多くなるかも」
「? 何か欲しいものでもあるのか?」
「ほら、前に言ったでしょ。庭のリフォームをしようかなって。それに必要な材料や道具をまとめて買っておきたいの」
「ああ、そういうことか……」
リフォームのことなんてすっかり忘れていた。豆のスープのことに始まり、浮気疑惑だの里帰りだの、いろいろなことがありすぎたせいだ(浮気に関しては、自分が勝手にネガティブになっただけだけど)。
早速荷物を乗せるための荷台を用意し、兄と市場に向かう。
「というか……よくよく考えたら、元はといえばアロイスが『スープでお祝いしてくれ』って言い出したせいなんじゃないか?」
「そうかもしれないねぇ。でも私は、お前と一緒に旅行ができて楽しかったよ」
「……そうか? トラブルしかなかった気がするが」
「それもまたいい思い出さ。もし将来的にアーダンくんがヴァルハラに来たら、死合いの洗礼をしてあげようね」
ニヤリと笑う兄を見て、ちょっと顔が引き攣った。
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