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第1342話
具材が全部切れたところで鍋を用意し、教えられた通りに煮込んでいく。じっくり煮えたところで最後にサワークリームを追加し、味にメリハリをつけた。
――よし、いい感じだ。
少し味見をしてみたところ、アニータが作ってくれたスープとほとんど変わらず再現することができた。これならアロイスも喜ぶだろう。
アクセルはエプロンを外し、出来立てのスープを鍋ごと運びながら言った。
「兄上、俺今からアロイスのところに行ってくるよ。温かいうちに味わってもらいたいんだ」
「そうかい? じゃあ行ってらっしゃい。お兄ちゃんはずっと家にいるから、心配しなくていいからね」
早速荷台にスープ鍋を乗せ、アロイスの家に向かう。
家の前に到着した途端、またもやドタンバタンと大きな音が聞こえてきて、内心呆れてしまった。アロイスは室内で何をしているのやら……。
「アロイス、例のスープを持ってきたぞ」
ノックしてもどうせ聞こえないだろうと、そのまま扉を開けてやった。案の定アロイスは、巨大な丸太を使って素振りを行っていた。
――だからそういうのは外でやれって言ってるのに……。
完全に呆れていたら、アロイスがこちらに気付いてドスンと丸太を床に置いた。衝撃でメリッと床が歪み、クレーターのような穴が空いた。
「おお、アクセル。今日はどうしたんだ? 木材の調達か?」
「……だから違うって。人の話を聞け。きみにリクエストされたスープを持ってきたんだ」
「え、そうなのか? でもスープならこの間作ってもらったばっかりじゃん」
「あれは『なんか違う』って言ってただろ。それで悔しかったから、ちゃんとレシピを教えてもらってきたんだよ」
「ん? レシピ教えてもらったってどういうことだよ?」
「まあ、まずは一度食べてみてくれ」
そう言って、スープ鍋ごとアロイスに渡す。
アロイスは怪訝な顔でそれを受け取り、自分の皿にスープを盛って食べ始めた。
「こ、これは……!」
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