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第1343話
一瞬、衝撃が走ったような顔になり、すぐさま破顔してガツガツスープを味わう。
「これだよ、これ! おふくろの味そのものだ! うおぉぉ! めっちゃ懐かしー!」
「そうか、よかった。直接教わった甲斐があったよ」
「だから何だよ、直接教わったってさ? まさか母ちゃんに会いに行ったわけじゃねぇだろ?」
「そのまさかだ。実は昨日、兄上と地上に下りてアロイスの故郷を見てきたんだよ」
「えっ……!?」
そう言ったら、案の定アロイスは大きく目を見開いた。次いでスプーンを置き、こちらに食ってかかる。
「何だよそれ! 母ちゃんに会ってきたってことか!? そんなシステムがあるなら、何でもっと早く教えてくれなかったんだよ! てか、それならオレも誘ってくれよ!」
「す、すまない……。誘いたいのはやまやまだったけど、身内には会えない決まりになっているんだ。俺は赤の他人だからいいけど、アロイスは実の母親だからダメなんだよ」
「ええー!? そんなルールがあんのか!? なんだよ、チキショー! それじゃ里帰りできねぇってことじゃねーかよ!」
ムスッと口を尖らせ、再び席に着くアロイス。「おふくろの味」とやらを味わいながら、ポツリと尋ねてきた。
「他の家族にも会ったのか?」
「あ、ああ……いろんな意味で元気な弟くんにも会ったぞ」
「アーダンか。あいつは弟の中で特に元気だったからなぁ……変わってないようで何よりだぜ」
元気すぎて何度も木の棒で殴りかかられたけどな……と、心の中で呟く。
「……母ちゃんも、下の子の面倒見るの大変だろうな。たまにはオレが帰って手伝えればいいんだけどな」
と、アロイスが静かに語り出した。
「行ってみてわかっただろうけど、オレん家はとんでもない大家族でさ。そのくせオヤジは早くに亡くなっちまったから、母ちゃん一人で全部の面倒見なきゃいけないんだ。金銭的にもあまり余裕がなかったから、ある程度デカくなったら外に働きに出ようって決めててさ。それで傭兵になったんだよな」
「そうか……」
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