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第1344話

「でも、結果は見ての通りっつーか……この通り、どっかで戦死してヴァルハラに来ちまったわけで。それ以来、ずっと家族のことが気掛かりだったんだ。オレ、何も言わずにヴァルハラに来ちまったから、母ちゃん絶対心配してるなってさ……。でもここからじゃ会いに行けないし、いつまでもウダウダしてるわけにはいかねぇし。だからせめて、トレーニングだけはサボらないようにしてたんだ。何もしないでいたら、あっという間に下位ランカーになっちまうからな」 「まあ、そうだな」 「ああ、チキショー……。何でヴァルハラは里帰りできねぇルールになってんだよ……。帰りたいヤツなんて、それこそ山ほどいるってのにさ……」 「…………」 「オレだって、帰れるもんなら帰りてぇよ……」 「…………」  里帰りは……アクセル自身、興味がないわけではない。昔住んでいた家や村がどんな風になっているのかは多少気になってはいる。  ただ、会いたい人がいるのかと問われたら「いや、特には……」と答えてしまうのではなかろうか。  自分にとっての家族は兄一人だけだし、その兄は今ヴァルハラにいて同じ屋根の下仲良く暮らしている。母はいないし、父もほとんど顔を覚えていないレベルなので、アロイスのように「他の家族を懐かしむ」ことはなかった。  きっとアロイスは、たくさんの家族に囲まれて幸せな人生を送ってきたんだろうな……。  アクセルは深呼吸をしてから、小さく微笑んだ。そしてこう言った。 「アロイス、一緒にもっと強くなろう」 「あん? 強くなるのなんて当たり前だろ?」 「そうだよ。それでヴァルハラのルールを変えられるくらいの力を持って、『年に一度の里帰りはOK』みたいにすればいいんだ。そうすれば、アロイスだって家族に会いに行ける。他の戦士(エインヘリヤル)も、帰りたい人は帰れるんだ。そうなったら、みんな幸せじゃないか?」

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