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第1345話

「あー、そうか……確かにそうだな。でも、ランクを上げるだけでルールって変わるもんなのか?」 「変わるはずだ。今の上位ランカーだって、かつて荒れ放題だったヴァルハラに革命を起こして治安を整備したんだ。それができるなら、里帰りのルールを変更するくらい造作もないはずだよ」  そう言ったら、アロイスは大きく目を見開いた。最初は驚いたような顔をしていたが、やがて冷静になると、納得したように呟き始めた。 「そうか……確かにそうだな……。上位ランカーっていろんな権力持ってるもんな……。となれば里帰りのルールくらい、マジで変えられるようになるのかも……」  次いで、皿に残ったスープをガツガツ平らげる。そしていきなりバッと立ち上がると、派手に気合いを入れてこう叫んだ。 「ぃよおぉぉし! 俄然やる気が出てきた! いつか絶対帰ってやるからな! 待ってろよ、母ちゃん!」 「お、おう……帰れるように応援してるよ。里帰りした暁には、アーダンの教育もついでにやってくれると助かるけどな」 「あん? アーダンが何かやったのか?」 「いや、まあその……なかなか血の気の多い弟さんだったというか……」  曖昧にごまかしたが、アロイスはすぐに意図を察してくれた。 「おい、とんでもねぇことしてんな!? 何してんだアーダンは! 帰ったらガッツリ説教してやらねぇとな!」  アロイスの説教がどんなものかわからないが、兄貴の言うことならさすがのアーダンも素直に聞いてくれるのではないかと思う。  用事を済ませたので、アクセルは一度自分の家に戻った。家では兄がリフォームのための図面にいろいろ書き込んでいた。 「おかえり。アロイスくんは喜んでくれたかい?」 「ああ、とても。いつか必ず里帰りするって、またランク上げに勤しむそうだ」 「そうか、それはいいことだね。ただランクを上げるより、明確な目標があった方がモチベーションにも繋がるよ」

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