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第1358話
そんなことを考えながら、アクセルは用意されたスープを平らげた。温かい水分とちょうどいい塩気が疲れた身体にぴったりだった。
空になった食器を片付け、もう一度サッとシャワーを浴び、その日は眠りについた。
***
そして翌日。アクセルはいつも通り起床して朝食前に走り込みを行った。昨夜はほとんど何もせずに休んだおかげで、体力もすっかり回復した。腰の痛みもあまり感じなかったので、今日は普通に鍛錬できそうだ。
――そう言えば、庭のリフォームもする予定だったな……。
昨日狩りに誘われたが、ついでに木材も仕入れてこようか。何ならアロイスに頼んで、また良質な木材を分けてもらえばいい。お礼にスープを作ってやれば喜ぶだろうし。
「ぴー」
「……ん?」
どこからかピピの鳴き声が聞こえて、アクセルは足を止めた。
昨日の時点ではピピは帰ってきていなかったから、今鳴き声が聞こえたということはピピが帰ってきた証拠である。あるいは空耳の可能性もあるが……。
「ピピ? いるのか? 帰ってきたなら出てきてくれ」
そう呼びかけた次の瞬間、武器庫の後ろから大きなうさぎの影が飛び出してきた。
「ぴー!」
「……どわ!」
巨体に飛びかかられ、数メートル先まで吹っ飛ばされてしまう。咄嗟に受け身をとったが、危うく朝一番に棺送りになるところだった。
「ぴー♪ ぴー♪」
そんな飼い主などおかまいなしに、ピピはふわふわの身体を擦り寄せてじゃれついてくる。アクセルに会えたのが余程嬉しいのか、長い耳をパタパタ上下させて喜びを表現していた。
「お、おお……ピピ、帰ってきたのか。久しぶりだな」
「ぴー♪」
「里帰りは楽しかったか? 家族は元気だったか?」
「ぴー」
「そうか、よかったな。走り込み終わったらご飯作るから、ちょっと待っててくれ」
「ぴー♪」
ピピはうんうんと頷き、アクセルの隣を並走し始めた。
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