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第1360話

「こんばんはー! 二人とも、いるー?」  その時、ベランダ側からミューの声が聞こえてきた。  そちらを見たら、やはりミューが庭から笑顔で手を振っていた。後ろにはお決まりのように、ジークとユーベルもいる。 「おや? こんな時間に客が来たね。三人揃ってどうしたんだい?」 「また変なお知らせがあるよー。でもその前に、お腹空いたからご飯作ってー」 「……ミュー、それではわたくし達がタダ飯を食いに来ているみたいではありませんか。こういう時は、きちんと手土産を持参するべきです」  ミューを押し退け、ユーベルが綺麗に包まれたワインを渡してきた。 「これ、差し入れです。一応、わたくしが厳選したワインですので味は保証しますよ」 「ありがとう。ユーベルがくれるものは高品質だから嬉しいよ」 「そう言えば、以前差し上げた二枚組のジャケットはどうしました? アレ、きちんと管理しないとシミが残ったり虫が食ったりしますからね。気を付けてください」  以前差し上げたジャケット……というのは、バルドルの食事会の時に着て行ったジャケットのことだろうか。ああいう余所行きの格好は滅多にしないので、クローゼットにかけたまますっかり忘れていた。  ――後でチェックしておこう……。  立ち話も何なので、とりあえず上がってもらって夕飯を一緒に食べることになった。  アクセルはもらったワインをキッチンに持って行って、五人分の食事を作ることにした。 「それで? 変なお知らせって何だい?」  リビングで兄が三人と話をしている。ジークがやや呆れた口調で答えた。 「なんか、まーたヴァルキリーどもが妙な企画を考えたらしいぞ」 「妙な企画って?」 「この間ランクマが始まったばかりなのに、それと並行して今度はトーナメント戦を始めるんだと」 「トーナメント戦……」

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