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第1361話

「まあ言葉通りだな。総当たりの死合いとは違って、こっちはトーナメント形式で組み合わせが決定するらしい。ランクは完全ランダムで、優勝者にはちょっとしたご褒美が待ってるみたいだぞ」 「ちょっとしたご褒美ねぇ……?」  兄が怪訝な声を出す。 「ご褒美はどうでもいいけど、それもまた穴だらけのルールなんじゃないの? だいたい、ランクが完全ランダムじゃ上位ランカーしか優勝できないじゃないか」 「ところが、我々のような頂点に近い上位ランカーはトーナメント自体には参加できないみたいなんですよ」  と、ユーベルが言った。  どういうことかわからず、アクセルはキッチンから耳を傾けた。 「トーナメントは全部で七つあって、優勝者は一位~七位までの上位ランカーと戦える権利を獲得できるみたいなんです。これが先程言った『ちょっとしたご褒美』ですね」 「えっ!? それ本当ですか!?」  思わずキッチンから大声で尋ねてしまった。アクセルにとっては、それほどまでに魅力的な話だったのだ。 「あー、アクセルは嬉しいよねー。頑張れば、フレインに挑戦できるかもしれないんだもんねー」  ミューがキッチンに入ってきて、料理している手元を覗き込んでくる。 「でも、そこは一応トーナメントだから勝ち抜くのは結構大変だと思うなー。どんな人が相手でも、一度も負けちゃいけないんだからねー。相性もあるだろうし、ある程度の運も持ってないと優勝は難しいんじゃないかなー」 「いや、それでも兄上に挑む権利がもらえるなら俺は頑張るぞ。死合いのマッチングを待っていたら、本当にいつになるかわからないからな」  トトトト……と勢いよく肉や野菜を切り刻む。  運営としては無茶苦茶なヴァルキリーだが、たまにはいい企画を考えるではないか。こちらとしては願ったり叶ったりだ。 「ま、下位ランカーにとってはメリットしかない大会だよな」  と、ジークが言う。

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