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第1362話

「一方の俺たちは結構シビアだぜ? さっきルールに目を通したんだが、挑戦者に負けたらその挑戦者とランクを交換しないといけないらしい」 「ありゃ、そうなのかい?」 「確定ではないが、ほぼ決定だろうな。死合いのポイントだけだとなかなか上位陣が交代しないから、ここらでひとつ逆転のチャンスを設けたんだろう」 「なるほど……。確かに、ここ十年くらい上位はあまりメンツが変わってないからね」  まあヴァルハラでは、十年って大した期間じゃないけど……と兄が笑った。  ユーベルが長い息を吐きながら言う。 「しかし、わたくしとしてはそう簡単に上位の座を譲るわけにはいきません。一〇〇位以下の者とランク交換なんてしてみなさい、下手したら今の住まいを追い出されることにもなりかねません」  ヴァルハラではランクごとに住んでいい場所、屋敷の規模などが決まっている。現在ランク四位のユーベルが一〇〇位以下に転落すれば、間違いなくあの豪勢な城は退去せざるを得なくなるだろう。それは貴族出身のユーベルには酷な話に違いない。 「その点、きみたち兄弟はそういう心配なくていいねー。兄弟戦えばどっちが勝っても、ランクを入れ替えるだけで済むもんねー」 「まあ、そうだな……って、おい。切った側からつまみ食いしないでくれ」  ミューが生ハムやチーズを横からちょいちょいつまんでいくので、アクセルはワインのつまみだけ先にリビングに持っていくことにした。  すると兄は、早速ワインを開けて友人たちと愉快に飲み始めた。アクセルはあえて口を挟まず、料理を作ることに専念した。 「ランク云々はともかく、アクセルと本気で戦えるのは楽しみだなぁ。死合いでは全然マッチングしないから、結構歯痒かったんだ」 「楽しみにするのは勝手だが、それはちょっと気が早いぞ。まだ弟くんがトーナメント優勝するとも限らないだろ」 「やだな、アクセルなら絶対優勝してくれるって。私はそう信じてるよ」

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