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第1366話
「そんなことより、お前もこっちに来て食事しようよ。せっかくの料理が全部なくなってしまうよ」
「いや、まだ料理全部できてないんだ。今ピザを焼いてるから、もう少し待ってくれ」
「じゃあお兄ちゃんも手伝おうか?」
「いや、大丈夫だ。兄上は皆さんとそっちにいて欲しい」
兄が話し相手になっていてくれないと、あの三人は何をしでかすかわからないのだ。飲み食いの量も未知数だし、ミューに至っては勝手に家の物を物色するとも限らない。
そこまで変な振る舞いはしないと思いたいが、やはり客人が来た時は家の主人 が話し相手になってあげるのが一番いいと思う。自分は給仕係に徹しよう。
「ははは。アクセルのやつ、随分主婦業がサマになってるな。めちゃくちゃいい奥さんじゃないか」
「まあね。こんなによくできた嫁役の弟はいないと思うよ」
「あなたの弟自慢は聞き飽きました。とにかく、我々は誰が勝ち上がってくるか注視しないといけませんね。怪しい人物なら、それなりの対応をせざるを得ませんので」
「そんなに気にしなくても大丈夫じゃないー? ここにいる戦士って脳筋が多いから、そこまですごい罠は仕掛けて来ないと思うんだよねー。……あ、このチーズも美味しいー」
などと、ミューがブルーチーズをつまみながら言う。
確かに、ほとんど無敵のミューにとっては怖いものなんてないかもしれないが、アクセルの場合「ほとんど脳筋だから大丈夫」と油断できないのが辛いところだ。
――この先何十年も経ったら、俺もミューくらいまで強くなれるのかな……。
想像しようとしたが、頭の中で全くイメージできなかったのですぐに諦めた。
アクセルは淡々とオーブンの温度を確かめ、チーズをたっぷり乗せたピザを焼いた。中でいい感じにチーズが溶け、とても香ばしい匂いが漂ってきた。
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