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第1367話

 さすがに自分も腹が減ってきたので、焼きたてのピザと共にテーブルに着いた。その頃にはワインも飲み干されていて、つまみの唐揚げやフライドポテトもだいぶなくなっていた。 「わー、美味しそうなピザ! いただきまーす!」  結構な量を飲み食いしているはずなのに、ミューは大喜びでいきなりピザ半分を自分の手元に確保している。これでは自分が食べる量がますます減ってしまいそうだ。まあ客が来ている時は仕方がないか。 「ところで、鍛錬するのに何かいい修行場はありませんか? 一般の鍛錬場だといろんな人の迷惑になりそうなので、なるべく人が少ない場所がいいんですが……」  誰に聞くともなく質問してみたら、ユーベルがちらりとこちらを見た。 「ケイジの修行場を借りればいいのでは? 彼の修行場なら、一般の鍛錬場より人は少ないでしょう」 「いえ、それが……最近、麓の修行場にもそこそこの人が出入りしてまして。邪魔になるのも嫌なので、他にいいところないかなと探しているんです」 「麓ではなく、もっと山奥の修行場ですよ」 「……えっ?」  言われてハッと顔を上げた。  山奥の修行場は自分もほとんど行ったことがない。ただ、兄を迎えに行くために少しだけ足を踏み入れたことはある。  その時は鍛錬しなかったのだが、何やらとんでもない器材や設備が揃っていたことだけは頭の片隅で覚えていた。それこそ針山の上の丸太とか、落とし穴の上の鉄棒とか、「こんなの誰が考えたんだ」と呆れてしまうようなものがあったように思う。 「まあ、あの鍛錬場は余程の人じゃないと使わないからね。あそこを使って無事でいられるのなんて、相当の上位ランカーなんじゃないかな」  と、兄が苦笑交じりに言う。 「というかお前、いくら快適な鍛錬場所がないからって無謀なことをするのはやめなさいよ? トーナメント前の鍛錬で死んだらシャレにならないし」 「う、うん……わかってるよ」

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