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第1369話
「それじゃ、行ってくる。兄上も狩りの引率頑張れ」
「そうだね。早く終わったら私も修行場に行くよ」
兄と別れ、アクセルは山の麓から更に奥へ足を踏み入れた。
――しかし……いきなり大変な道が続いてるな、これ……。
目の前には険しい岩山が聳え立っている。取っ手もなければ鎖もなく、本当に全部自力で登っていかなければならないみたいだった。近道のような抜け道もなさそうだし、ここを超えない限り、例の修行場には辿り着けないということである。これはかなりの体力を消耗しそうだ。
――以前来た時は、もっと道が簡単だった気がするんだけどな……。
もしかしたら持ち主のケイジが、道中にも手を加えてわざと困難な道を作ったのかもしれない。修行バカと言われている彼のことだから、普通に考えられる。
「……うわっ!」
危うく足が滑りそうになり、咄嗟に出っ張っている岩場を掴んだ。高さはさほどではなかったものの、こんな硬そうな岩場から転落したら大怪我は免れない。打ち所が悪ければ、最悪死んでしまう可能性もある。
まあ、万が一死んでも兄が回収して棺に入れてくれるだろうけど……だからと言って、修行場に辿り着く前に死んでしまうのはあまりに間抜けすぎるだろう。
何とか頑張って辿り着かなければ……。
「はぁ……はぁ……」
岩山をひとつ登り終えたところで、アクセルは一度荷物を下ろした。そして兄が作ってくれたハチミツ入りレモン水を一気にボトル半分ほど飲み干した。
――というか、あとどのくらい登ればいいんだ……?
ちらりと道の先を眺める。
残念ながら未だに目的地は見えない。目の前には巨大な岩、岩、岩……ばかりで、見ているだけで心が折れそうだ。
せめて「あと○メートル」みたいな案内板が立っていればモチベーションにも繋がるのだが、ケイジがそんな甘っちょろいものを立ててくれるはずないしな……。
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