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第1370話

 ――いや、挫けるな。とにかく行けるところまで行ってみよう。  体力的にはまだ余裕がある。水分がなくなったら素直に引き返すことにして、今は目的地を目指すとしよう。  気合いを入れ直し、アクセルは再び鞄を背負った。岩の窪みを手探りで見つけつつ、そこを掴んで少しずつ登っていく。今度は足を滑らさないように、慎重に。 「よっ……と」  三〇分くらいかけて次の岩場を踏破し、頂上で一休みする。座り込むといつまでも休んでしまいそうだったので、立ったまま水分補給をすることにした。  ――持ってくる水分、少なすぎたかな……。  思った以上にレモン水の消費が激しく、そろそろなくなってしまいそうだ。今日は様子見のつもりだったので、あまり量も持ってこなかった(鞄が重くなるのも嫌だったし)。  道中がここまで険しいと知っていれば、もっとしっかりした装備でチャレンジしたのに……。 「……ん?」  視界の端に修行場らしきものが映って、アクセルはおや、と目を凝らした。木々の間に隠れてハッキリとはわからなかったが、修行用の丸太や大岩、水辺などがあるのが見えた。  ――もしかして、あれか……?  目を凝らさないと見えないレベルだが、視界に映るくらいだからここからそう遠くないのではないだろうか。  水分は残り少ないけれど、どうせここまで来たのなら最低限辿り着くところまでは行きたい。 「……よし」  アクセルは軽くなった鞄を再び担ぎ、また一歩先へと踏み出した。  目的地が見えてきたせいか心なし気持ちが上向きになり、ついでに足取りも軽くなって思った以上にサクサク踏破することができた。  休憩していた場所から続けざまに二つの岩を越え、足を滑らさないように慎重に最後の岩を下りていった先に、目的の場所はあった。  ――や、やった……どうにか辿り着いた……!  かなり苦労したが、何とか修行場に到着した。さすがに今からガッツリ修行するのは無理だけど、どんな設備があるのかは見て帰ることができる。  次回、ここに来た時のためにも修行場はしっかりチェックして帰らなくては……。 「む? 貴殿は確か、フレイン殿の弟の……」 「……えっ?」

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