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第1372話

 一体どんな修行をしたら、あそこまで体幹が強くなるのだろう。兄もそれなりに強かったけど、ケイジはそれ以上な気がする。  自分も修行を続けていれば、いつかあんな風になれるんだろうか……。  ――いや、さすがにちょっと無理かな……。  アクセルは苦笑した。ケイジみたいな人は別格だ。骨格も体格も恵まれているし、基本的な筋肉量も違う。どんなに頑張っても、今更あんな大男にはなれない。  無暗に目指すよりも、吸収できそうな部分は吸収するだけに留めておいた方がよさそうだ。  細い鉄棒を難なく渡り切ったケイジは、丸太を担いだまま次の設備に進んだ。  次は、砂の上をただ歩くという一見シンプルなものだった。砂場のような場所に白っぽい砂が敷き詰められており、歩く度にジュッ……と微かに音がする。  ――いや、ちょっと待てよ? 今の音は……。  確かめようとして近づいたら、触るまでもなくその砂がものすごく熱くなっていることに気付いた。タマゴを割ったらその上で目玉焼きが作れそうだ。先程のジュッ……という音は、足の裏が焼ける音だったのか。  さすがにぎょっとして、アクセルは顔を上げた。 「ちょ……ケイジ様……! こんなところ歩いて大丈夫なんですか……!?」 「なんの。心頭滅却すれば火もまた涼しという。この程度の熱さ、どうということはない」 「でも、本当に足の裏焼けてますよ……! そのまま続けたら歩けなくなっちゃいます……!」 「なに、もし歩けないほど足が焼けてしまったら、帰りは狂戦士モードで帰るから問題はない」 「えええ……?」  確かにそれなら家には帰れるかもしれないが、果たしてそこまでする意味があるのだろうか。アクセルからすると、わざと危険なチャレンジをして自己満足に浸っているようにしか見えないのだが……。 「理解できないという顔をしているな、弟殿」 「えっ!? あ、いえ……それは、その……」

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