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第1374話
――というか、今の発言からすると生前も今と似たような鍛錬してたっぽいよな……。
当たり前だが、生前は一度死んだら死んだままだ。狂戦士 モードもないので、足の裏が焼ければ焼けた痛みにずっと襲われる。
本来なら、このような危険な鍛錬できるものではない。
そう考えたらある疑問が浮かんできた。まさかな……とは思ったものの、どうしても気になったのでアクセルは勇気を出して尋ねてみた。
「あの……つかぬことをお伺いしますけど、ケイジ様はどのような経緯でヴァルハラに?」
「どのような、とは?」
「俺は戦場で死んでヴァルハラに招かれましたが、ケイジ様はどんな状況だったんだろうと」
「ああ、それか。残念だが、私自身も詳しい経緯は覚えていないのだ」
「え? でもどの戦場で亡くなったとか、そういうのはわかるでしょう?」
「いや、私の場合は戦場で死んだわけではないのだ」
「……えっ?」
「直前の記憶がやや曖昧だが、少なくとも戦場ではなかったのは確かだ。おそらく何かの修行中に誤って命を落としたのだろう」
「ほ、本当ですか? 戦死じゃないのにヴァルハラに招かれたんですか?」
「うむ。私の国では確かに戦乱続きではあったが、私自身が誰かに討たれるようなことはなかったはずだ。これでも戦場では『鬼神の如き』と例えられていたからな、私が仁王立ちするだけで敵兵が逃げて行ったものだ」
「そ、そうだったんですか……」
鬼神の如き……はともかく、「戦場以外で死んだ」というのは衝撃の事実だった。修行中に死んだにも関わらずヴァルハラに招かれた人がいるなんて、今まで考えたこともなかった。
――オーディン様の眷属 になるには、最低限戦場で死なないといけないんじゃなかったのか? 条件がわからなくなってきた……。
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