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第1375話
ということは、ケイジのように「戦死以外でヴァルハラに招かれた人」はそれなりの数いるんだろうか。アクセルの知っている戦士 は全員戦死してからこちらに来ているので、それが当たり前だと思っていた。
複雑な顔で首を捻っていると、ケイジが軽く笑い飛ばしてきた。
「そのように悩むことではなかろう。ヴァルハラにいる戦士は、出身国も違えば時代も違う。となれば、元となる文化や考え方が異なるのも至極当然のことだ」
「はあ、それはそうなんですが……」
「弟君は『ヴァルハラに行くには戦場で散らなければならない』という考えの元で育ったのかもしれぬが、『敵に討たれるのは不名誉なこと』と考える戦士もいるだろう。それはそれぞれの価値観ゆえ、否定してはならぬ。自分とは違った価値観に触れ、それを認めて理解してこそ人間の器は広がっていくのだ」
「……!」
違った意味で衝撃が走り、アクセルははたとケイジを見つめた。
ケイジは相変わらず平然とした顔で砂の上を歩いている。
――上位ランカーが何故強いのか、今更だけどわかった気がする……。
腕っ節だけ磨いてもダメなのだ。上位に名を連ねている戦士 たちは、皆人間としての器が圧倒的に大きい。兄・フレインは言わずもがな、ミューやジーク、ユーベルもそれぞれ人間としての余裕がある。
ランゴバルトはどうなのか……と少し思ったが、普段は荒っぽい彼もコニーという世話役とひとつ屋根の下に住んでいる。どこをどう見ても気が合うとは思えないコニーの言うことを聞き、戦闘をやめる判断をすることもある。面倒見がいいかどうかはわからないが、少なくとも人の意見を聞く耳は持っているということだ。
そこはさすがに、長年上位ランカーとして君臨してきただけのことはある。
――はぁ……みんなすごいな……。
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